外来のご案内

人工関節&関節温存センター

ご挨拶

 高齢社会の進行に伴い、変形性関節症を患い、膝や股関節に痛みをかかえる方々は増加の一途をたどっています。また、スポーツや活動性の高い仕事、更には日々の生活に支障をきたしているのでなんとかしたいと思われるミドルエイジも増加の一途を辿っています。

当院ではシルバーエイジで変形性関節症とされた方々には人工関節センターを、ミドルエイジで関節痛にお悩みの方には関節温存センターを開設いたしました。関節温存センター内では人工関節に頼らない膝関節手術や再生医療を応用した、濃厚血小板治療(PRP療法)自家培養軟骨移植も行います。

皆様の歩ける人生を応援させていただきます。

湘陽かしわ台病院
人工関節&関節温存センター
センター長
整形外科部長
北浜 純

   

人工関節センター

元気な歩ける暮らしを続けていきたいというシルバー世代のニーズにお応えするべく当院では、2022年整形外科に北浜部長が赴任、当院でも人工膝関節の手術に積極的に取り組んできました。北浜部長は前任の病院では膝関節外科、人工関節手術、関節鏡手術に20年以上の実績があります。近年注目を浴びてきている再生医療にも積極的に取り組んできました。当院でも年間の関節手術件数は初年度30件、翌年は50件を超えてきました。

「人工関節」と聞くと従来のイメージでは膝が曲がらなくなる、歩けなくなる、リハビリがつらい、長く入院する、恐ろしくて、やってはいけない治療を連想される方がいまだに多いようですが、そのイメージは昭和初期に捨ててしまいましょう。

今は令和です。

虫歯になったとき皆さんは歯医者さんで、歯の傷んだ部分を削り落として、金歯なりセラミックなり被せ物をすれば痛くなくご飯がまた食べられるようになります。虫歯には、単に注射をしたり、歯に薬を塗ったり、薬を内服したりだけでは治療にならないことを既に身をもってご経験されていると思います。

膝や、股関節も同じです。

どんなにヒアルロン酸を注射したり痛み止めを内服しても、傷んだ軟骨はもとに戻りません。軽症ならその場が治まることはありますが、中等症以上(ある程度症状の進行した)の方は、借金の返済を後伸ばしするのと変わらないのです。その間は痛い膝や股関節を引きずりながらの生活に甘んじた人生を送らねばなりません。

人工関節とは傷んだ軟骨の代わりに、その部分は削り落として、金属や合成樹脂でできた被せ物をはめてあげる治療です。虫歯に対する金歯みたいなものです。


・人工膝関節置換術
当院の人工膝関節は、全置換術と単顆置換術の2種類が、患者様の膝の状態に応じて行われます。

変形の比較的少ない方は単顆置換術という、部分的な人工関節への交換で済みます。当然手術の傷も小さく、体に対する負担も少なく、靭帯などもすべて温存されるため、術後の感覚の回復も早く、膝の曲がり角度も良好です。耐久性も20年以上の長期成績も報告されております。

一方全置換術は変形の進んだ方々に行われます。

長々と注射でごまかしながら頑張っていると軟骨の摩耗は多部位にわたって広がり進行し、関節内の靭帯も擦り切れてしまいます。

そうなった場合は関節内側外側ともに交換する全置換術がおこなわれます。

安定した膝を作ることができるので、進行してしまった方も安心して受けられます。

当院の人工関節置換術の入院期間はおよそ2週間です。歩行が安定し、膝の可動域の良好な回復と階段の上り下りが可能になることが退院の条件ですので、そこまでしっかりとリバビリしてからの退院としています。

退院してからの外来でのリハビリは、さらに丈夫な下肢を手に入れたい方に対して行われます。


・人工股関節置換術
変形した股関節を膝同様人工の股関節に交換する手術です。当院では手術の際の傷から関節までの展開法に前外側アプローチを採用しています。世間一般で広く行われるおしりの方から侵入していく後方アプローチの時には、術後に1週間ほど外転枕と言われる股の間を閉じないように固定する枕を使用するのですが、これが結構煩わしく、術後にも禁忌肢位(しゃがめない、正座できないなど)が発生します。当院の前外側アプローチですと外転枕は必要ありませんので手術直後から足を自由に動かすことが許可され、手術翌日から立って歩くリハビリが開始されます。もちろん術後の禁忌肢位は基本的に設けずに(しゃがみ込みや正座も可能です)リハビリテーションを行っております。また、本手術はインプラントの設置角度が適切であることも重要であるため、簡易ナビゲーションシステムを用いて手術を行い、精度の高い手術を行っております。

   

関節温存センター

ただし、変形性膝関節症の治療は人工関節ばかりではありません、

初期の方には関節鏡と言う内視鏡を用いた、半月板修復術が行われます。近年着目されてきている、中年以降に多い、内側半月板の後根損傷という半月板の後方の付着部の損傷は放置すると変形性関節症に移行し、すぐに進行してしまうので、半月板を内視鏡で修復する手術を行います。ロッキングと呼ばれる引っ掛かりを起こすタイプにも修復術が行われる場合があります。半月板の小さな傷には回復が早いため部分切除術がおこなわれることもありますが、可能な限り半月板の温存に取り組んでいます。

また、中高年の初期中期の変形性関膝節症には骨切り術がおこなわれます。


これも昭和初期世代には恐ろしく感じてしまう名前の手術かもしれませんが、短的に言うと、O脚やX脚の矯正手術です。変形性膝関節症で摩耗しかかっている内側または外側と反対側の、関節軟骨で体重を受けるための、下肢の矯正手術です。

一度すね(下腿骨)やふともも(大腿骨)の骨に切り込みを入れ、変形矯正してから金属のプレートで固定し、骨癒合させる(骨をくっつける)ことで、下肢の形を矯正します。骨がつくまで数ヶ月を要しますが、固定のプレート(インプラント)の進歩により、下腿骨での矯正では、矯正角度の少ないものは2〜3週間の入院で歩いて退院が可能になりました。

骨癒合が得られ、リハビリで筋力が回復すれば、スポーツや活動生の高い仕事への復帰も期待できます。スポーツへの復帰を強く望まれる方、活動性が高く重労働をされている方、若い方に行われます

   

PRP外来(濃厚血小板治療)

さらに、膝は痛いことは痛いが、ヒアルロン酸の注入では満足できず、でも、手術まではまだ考えたくないという方には、再生医療を応用した注射の治療であるPRPでの治療も行っています。採血して、自分の血液の中にいる血小板に含まれる再生因子(成長因子)を抽出して、変形関節に注入することで、関節内の炎症を治めたり、軟骨や半月板の傷の修復をしたりする効果が期待されます。

スポーツ選手から始まった治療ですが、現在はスポーツ愛好家や中高年者にも広く行われる治療になりつつあります。残念ながら健康保険が認められていないので、割高に感じる方もおられるでしょうが、今までは不可能とされた、軟骨の修復に対する大きな一歩となる治療です。自費診療ながら、治療の普及を目指すことを当院では目的としておりますので、費用も手の届かなくない価格に抑えております

   

培養軟骨移植術( JACC )

2024年の4月からは当院は培養軟骨移植術と言われるJACCの認定施設の資格を習得しました。JACCは北浜部長が前任の病院で行っていた、患者様の膝の端っこの方の軟骨を耳搔きほど採取して、それをJACCの再生医療センターで培養し、軟骨シートにして、膝の軟骨の欠損部に貼り付けて移植する治療です。骨切り術との併用が行われ、なくなってしまった関節軟骨が再生する治療として期待されています。



今後かしわ台病院の人工関節&関節温存センターが、この地区のお役に立てるよう切磋琢磨していきたいと存じております

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診療実績